科学技術とは何?
科学と技術は別のものとして区別されていましたが、科学と技術の発展により区別がつけにくくなり、科学技術庁が設立されてからは科学技術と呼ばれるようになりました。
科学技術はとても速いスピードで成長しており生活を豊かにするために欠かせないものとなっています。
科学技術の例を見てみよう
例1 自動運転技術
自動運転には段階があり、レベル0~レベル5までの6段階があります。現在のレベルは3で特定の場所ですべての操作が自動化されています。
現在では高速道路で自動運転が可能です。しかし、緊急時についてはドライバーが対応しなければなりません。
緊急時にもドライバーが対応する必要がなくなったものがレベル4です。
そして高速道路などの特定の場所という限定がなくなったものがレベル5となり完全な自動運転が実現したことになります。レベル5に到達する時期の予測は2030年代と言われているケースが多いです。
例2 スマート農業
スマート農業とはロボットやICTを活用して農業を発展させることを言います。農業は人手不足が長く続いており、農作業者の高齢化などが問題になっています。
そのため科学技術により作業の自動化や技術継承をスムーズに行う必要があります。またデータの活用により農作物を効率よく育て、病気から守り、より効率的に農業をすることができるようになります。
例3 RNA技術
RNAとは簡単に言うとDNAのデータからたんぱく質を作るものです。RNAには多くの種類があり、最近よく聞くRNAがmRNA (メッセンジャーRNA)です。
mRNA技術は新型コロナワクチンで活用されました。仕組みとしてはウイルスの表面にある特殊なたんぱく質の情報を含んだmRNAを体内に入れると体の中で抗体が作られます。
その抗体の効果でウイルスが体に入ってきたときにすぐに撃退することができます。mRNAは体の中に残らず遺伝子を傷つけることがないため安全性が高いとされています。
例4 見ながら治すナノ薬剤送達システム
リポソームという入れ物に薬剤を入れてがんに集めて患部を加熱してがんに薬剤を作用させる方法があります。
しかしこの方法ではがん組織にナノ粒子が届いていない場合があり、その問題を解決するためにリポソームに造影剤を入れてみる機能を追加し、最小限の負担かつ短期間で実施できる効率的ながん治療を目指します。
例5 グリーン水素
以前から水素は電気の代わりとして注目されています。2050年にはエネルギー需要の約4分の1を水素で補うことができるとも言われています。
水素には種類があり、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用することで二酸化炭素を発生させることなく製造した水素をグリーン水素と言います。
非常に高価ですが科学の発展によりコストが大幅に小さくなっています。これからもさらにコストが小さくなる見込みでEUではグリーン水素を普及させる方向に舵を切っています。
例6 介護現場のニーズに応える製品開発
介護現場の作業支援用の着るロボット「ATOUN MODEL Y」というパワードウェアがあります。介護現場で約1年間安全面や有効性を検証して、現在では実際に介護現場で利用されています。ATOUN MODEL Yは主に腰への負担を減らし、介護士よりも体の大きな人をスムーズにベッドから車いすに移動させることもできます。
介護業界は人手不足であり、少子高齢化のため介護を受ける人は増えますが介護者は急には増やすことができません。そのため現在介護をしている人の負担を減らし、人ができることの可能性を増やし介護現場で長期的に働いてもらうためにパワードウェアが利用されています。
例7 マテリアルズインフォマティクス
情報科学を活用して材料開発を行うことをMI(マテリアルズインフォマティクス)と言います。
具体的には、従来までの技術者の知識や経験のみに頼り試行錯誤を繰り返すのではなく、ビッグデータ、AI、機械学習などを利用し、膨大な数の実験や論文を解析し製造方法を予測し材料開発の効率を上げます。
すでに化学業界ではMIをDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として強化することが多くなってきています。ほぼすべての材料開発でMIを活用する企業もあります。これからのスタンダードとしてMIが活用されることになるでしょう。
例8 地質情報の活用
日本は地震や水害が多く防災は重要な課題で、AIやIOTを駆使してこの課題に取り組まなければなりません。応用地質株式会社はAIをIOT、ICTと組み合わせて防災・減災、インフラ・メンテナンス分野で活用しています。簡単に設置可能、安価、長時間、広範囲を監視できる「クリノポール」を開発しました。
クリノポールで得たデータはクラウドで自動的に保存されます。設置する場所はAIを活用して決定します。
現在は業務支援ツールとして利用されているAIですがいずれはAIのみで設置個所を決定することができることを目指します。
クリノポールにデータがたまるとセンサーの数を減らしてもその土地の危険度をAIが推定できるようになると考えられており、将来は時間をかけることなく高精度のハザードマップを作成できるようになるでしょう。
例9 メタバース
メタバースとは「インターネット上に構築された仮想の三次元空間でアバターなどを用いて接する環境」とされています。メタバースは完全な仮想世界と現実空間内包型の2種類に分けられます。完全な仮想世界とは現実は関係なく作られた世界で、現実空間内包型は現実空間と仮想空間を混ぜた空間で二つの世界が共存する世界です。
メタバースの必須条件をマシューボール氏が提示しました。
一時停止やリセットが存在せず無限に続くこと
実社会と同じく同期的な状態
ユーザーそれぞれが存在感を持つ
企業や個人が価値を生み出し報酬を得られる
リアル/バーチャル、オープン/クローズ、プライベート・パブリックにまたがる体験となる
プラットフォームの垣根を越えた体験
個人や企業などが大量のコンテンツや体験を提供する
以上の7つの条件を満たすことでメタバースと呼ぶことができます。現在大企業がこぞってメタバース市場に参入しているのでこれから急速にメタバースは成長するでしょう。
例10 NFT
NFT(ノンファンジブルトークン)とは代替不可能な唯一無二のデジタル資産のことです。
NFTはブロックチェーン技術が利用されておりブロックチェーンの中に唯一無二のデータが保存されています。ブロックチェーンの特徴として改ざんやコピーができないためこの唯一無二のデータは守られます。
デジタル資産をNFT化してNFTにすると固有の価値を持たせ売買することができるようになります。
実際にメタバースの土地やアバターなどが高値で取引されています。NFTはこれからの世界を大きく変える技術なのです。
科学技術の予算とは
科学技術を開発するには多額の予算が必要です。日本では毎年科学技術への予算が増加しています。
これは政府が科学技術の発展を重要視しているからであり、これからさらに科学技術が発展するということの裏付けでもあります。
科学技術が広げる未来について
科学技術は10年前と比べて信じられないほどに進歩しています。
その進歩の速度は加速度的でこれからさらに10年、20年先はSFのようなことが実現しているかもしれません。
日本の科学技術予算総額は2019年の時点で4.2兆円 予算が一番多い国は中国で25兆円という規模です。
2030年の科学技術を予測
2030年の科学技術は現在の最新技術がさらに発展しているでしょう。
ATOUNが2030年に目指しているものはパワードスーツの発展形で、スーツに動きのデータをダウンロードしてそのスーツを着ることによって、データ通りの動きができるようになるというものであり、動きのデータをアプリ上で売買できるようになるというものです。
この未来予測はSFプロトタイピングという手法で考えられており、具体的で細部まで予測されています。
2040年の科学技術を予測
2040年は現代から考えるとSFの世界と思えるほど科学技術は進歩しているでしょう。
現在は5Gが最先端ですが2040年は6Gになっていて5Gと比べ物にならない速さで通信できるようになっているでしょう。
そしてIOTも進歩しほぼすべての物がインターネットと接続されてデータを収集できるようになって、ほとんどの人がメタバーズと現実世界の両方で生活しているでしょう。
他にも現代では想像もできないことが当たり前になってとても便利な世界になっているのは間違いないでしょう。